フードロスと食品寄付の関係。破棄食品を寄付する企業は増える?

今、日本でも世界でも、フードロスが増え続けることが、深刻な問題になっています。

でも、フードロス問題が深刻化と言っても、具体的にどのくらいの深刻さなのでしょうか。

ここでは、フードロス問題の実態に触れながら、解決するための取り組みや政策についてまとめました。

また、今話題を集めている「フードバンク」が抱える問題点などについても触れていきます。

日本のフードロスの実態は?

日本国内では、年間約2,800万トンの食品が廃棄されていると言われています。

内訳は食品関連会社(スーパーなどの小売業、外食産業など)から約2000万トン、一般家庭からは約800万トンです。

そして、2,800万トンの4分の1である643万トンは、「まだ食べられるのに捨てられている食材」です。

引用元:農林水産省 食料破棄等の発生量(平成28年度推計)

この「まだ食べられるのに捨てられている食材」の問題こそが、「フードロス」です。

でも、数字で表示しても、どのくらいの量のフードロスが発生しているのか、想像できませんよね。

日本のフードロスの量は、国民1人が1日にお茶碗1杯分の食べ物を捨てている量に相当すると言われています。

また、世界中では、飢餓に苦しむ国の人たちへ、食品の寄付も積極的に行われていますよね。

この食品の寄付量よりも、日本国内だけで発生するフードロスの量は、何と倍近くにものぼると言われているのです。

世界で寄付している食品の量よりも、日本一国のフードロスの量の方が多いというのが大きな問題です。

フードロス問題への国の取り組みは?

この大量のフードロス問題を受けて、日本でもようやく、国をあげての取り組みが少しずつ始まってきました。

環境省などが中心となり、各企業に呼びかけ、フードロスを減らすように指導しているのもその1つです。

また、日本のフードロスの現状を国民に訴え、各家庭でもフードロスを減らすように呼びかけています。

インターネット上でも、フードロスを減らす工夫について、環境省が情報を提供しています。

でも、残念ながら、環境省だけの働きかけでは不十分であるため、民間の企業もそれぞれ立ち上がっています。

例えば、余った食材を、必要としている場所で売り買いできれば、フードロスを減らす結果になりますよね。

これをサポートするためのアプリも開発され、余った食材がスムーズに流通できるシステムも作られ始めました。

まず、廃棄する予定の食品の情報や価格を、飲食店がweb上にアップロードします。

そして、アプリのユーザーで希望者がいれば、web決済でこれを売買するというシステムです。

飲食店は、閉店時間や賞味期限などの理由から破棄せざるを得なかった食品を売ることができ、購入者は安く手に入れることができる。

購入者よし」「お店よし」「環境よし」と、三方よしのウェブサービスです。

テレビ番組でもその仕組みが取り上げられ、登録者数もどんどんと増えています。

2019年8月現在での登録店舗は東京都で250店舗以上、神奈川県で18店舗、埼玉県で11店舗、石川県で28店舗。

利用できるお店が増えることがとても楽しみですね。

フードバンクという取り組みも活発化

さらに、「フードバンク」という活動も活発化しており、余った食料を養護施設などに寄付するシステムもできてきました。

このように、国内では、国も民間企業も、フードロス問題を改善させるべく、それぞれ少しずつ動き出してはいるのです。

ただ、食品衛生法があり、日本では、食品の賞味期限が短いというのがデメリットでもあります。

そのため、「捨てたくなくても、食材を捨てざるを得ない」という状態の企業も、かなりたくさんあります。

この法律が壁となり、国が、民間のフードロス問題解決の活動の足を引っ張っているという側面もあるようです。

コンビニでも食品寄付の流れが

また、コンビニでも食品の寄付の活動が始まりました。

大手コンビニのローソンでは、全国フードバンク推進協議会に加盟するフードバンク24団体に対してお菓子など約2万7,000個を2019年8月5日までに寄付しました。

寄付されたお菓子は対象となっている家庭や施設などに提供されます。

今後はカップラーメン、缶詰、調味料など様々な食品が寄付の対象となることも発表されています。

フードロスの大きな原因となっているコンビニでも、食品寄付の大きな流れが押し寄せているように感じますね。

食品を破棄するより寄付したほうが有利になる?

さて、2018年12月に国税庁と農林水産省が、食品の寄付に関して、新しい取り決めを出したのをご存知でしょうか。

これは、「廃棄する予定の食品を寄付した場合、そのための経費は国が援助する」というものです。

つまり、食材を捨てずに、フードバンクや被災地などに寄付すれば、そのための経費は、企業の自己負担ではないということです。

もちろん、食材を寄付したら、「○○に寄付しました」という証明書を出す義務はあります。

この取り決めは、「食品を廃棄するよりも、寄付した方が有利になる」というイメージを持ってもらうことが狙いのようです。

食材を廃棄する場合、ただ捨てて終わりではなく、廃棄するための経費がかかりますよね。

でも、廃棄せずに寄付すれば、経費は国が出してくれますから、金銭的な負担は減ります。

そのため、シンプルに考えると、食材は廃棄するよりも、寄付した方が有利になりそうです。

企業にしても、せっかくの食べ物を破棄するよりも、必要としている誰かに譲りたいという気持ちの後押しをしてくれる制度となります。

ただ、本当に有利になるかどうかは、その企業によるのではないかと思います。

国から経費を出してもらうということで、税金などの会計処理の問題が出てくるからです。

そのため、「食材を寄付した方が絶対に有利」とは、100%言い切れないのが現状でしょう。

フードバンクの抱える問題点について

フードバンクは、フードロス問題を解決する方法として、今かなりの注目を集めています。

しかし、フードバンクも完璧なものでは決してなく、問題点も抱えているのが現実です。

資金不足の問題

まず挙げられるフードバンクの問題点は、資金不足が深刻であるということです。

基本的にフードバンクは、寄付などによって活動費を捻出する形の組織です。

でも、フードバンク自体がまだ世の中に浸透していないせいか、寄付がなかなか集まらないのですね。

そのため、フードバンクの維持ばかりに資金を使い、肝心な活動費が捻出できないという問題があるようです。

ちなみに、都市部で活動するフードバンクは、ここ最近、その状況が徐々に改善しつつあると聞きます。

一方、地方のフードバンクは、あまり知られていないため、寄付が集まらず、資金不足が深刻のようです。

法律での整備が整っていない

次に挙げられるフードバンクの問題点は、活動や運営に関する法律がないという点です。

フードバンクは比較的新しいタイプの活動なので、それに関する法律の整備が追い付いていないのが現状です。

そのため、「問題が起きた時、誰が責任を取るのか」という点が、かなり問題視されているようです。

特に、フードバンクは食品を扱う活動ですから、衛生面などのトラブルは御法度です。

でも、このようなトラブルが起きても、法律が整備されていないために、解決できないのではとも言われています。

フードバンクに関しては、法律が整備されていない上に、国がその活動内容をあまり把握できていないようです。

そのため、何か起きた時に、国が指導をするということができないことも大きな問題です。

保管施設が整っていない

次に挙げられるフードバンクの問題点は、食べ物の保管場所を十分に整備していない所が多いという点です。

先ほどもお話したように、フードバンクはどこも、資金不足に悩んでいる所がたくさんあります。

そのため、食べ物を保管する場所を作ることができず、常温の食べ物しか扱えないフードバンクが多いと言われています。

また、せっかく食べ物を寄付してもらっても、保管できないことを理由に、断ったり、返したりすることもあるそうです。

海外ではフードロス問題にどう対応している?

海外では、日本以上にフードロス問題への取り組みが積極的であるようです。

では、海外ではフードロス解決のために何をしているのか、具体的に見ていきましょう。

フランス

例えば、フランスでは、売れ残りの食品廃棄を禁止する法律が、数年前に整備されました。

それに加え、フランスはフードバンク先進国の1つで、フードバンクの活動が、日本よりもかなり進化しています。

これにより、食品業界やお店などは、売れ残りの食品を、フードバンクにどんどん寄付して再利用しているそうです。

そして、法律で決められているということもあり、食品を廃棄すると、罰金も科せられます。

イタリア

イタリアの大手スーパーでは、売れ残った食品を値引きして販売することが定着しているそうです。

商品の値引きについては、日本でもよくされていますね。

更に、販売するだけでなく、イートインコーナーでもリユースするなど、売れ残り食品の使い方に工夫があります。

スペイン

スペインでは、各地域に大きな冷蔵庫を設置し、地元の人たちがその冷蔵庫の中に、要らない食料を寄付する活動をしています。

この冷蔵庫の中に貯蔵された食品は、経済的な事情で食事が十分にとれない人たちに寄付されます。

もちろん、冷蔵庫の中の食品の安全性は、ボランティアの人たちによって、定期的に検査されているそうですよ。

デンマーク

デンマークでは、賞味期限が切れた食品・傷があるアウトレット食材を専門に扱う食品店が話題です。

この食品店で扱われている食品は、どれも値段がかなりリーズナブルなので、大人気なのだそうです。

アメリカ

アメリカでは、「外食をした時、食べ残した料理は持ち帰りましょう」というスタイルが一般的です。

ドギーバッグ」と呼ばれる容器に料理を入れて、そのまま持ち帰ることがかなり一般化され始めているそうです。

まとめ

日本のフードロス問題の深刻化に伴って、これを解決するための活動も、少しずつ始まりました。

ただ、この活動はまだ発展途上であるため、克服しなければならない課題も数多くあります。

でも、海外を見てみると、フードロス問題への取り組みが、日本以上に活発化しており、結果にも結び付いているようです。

海外の活動をヒントに、フードロス問題が少しずつ解決できるよう、私たちも日々の生活の中で努力したいものですね。

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