スーパーや学校など、様々な場所でみかける「ペットボトルキャップ」の回収ボックス。
ペットボトルのリサイクルは知っていても、キャップは集めてどのようにリサイクルされるのかご存知ない方も多いのではないでしょうか。
また、回収ボックスにはペットボトルのキャップを集めて、寄付に役立てることが掲げてある所もあります。
そこで、今回はペットボトルキャップを集めることでできる寄付について、そしてペットボトルキャップのリサイクルについてお伝えします。
目次
ペットボトルキャップの寄付について
ペットボトルキャップを寄付すると、主に以下のようなことに役立ちます。
まずは、ワクチンとして開発途上国の貧しい子どもたちの救済になることです。
流れとしては、集めたペットボトルキャップを、リサイクル業者に買い取ってもらい、その売却益を寄付します。
この寄付先としては、「世界の子どもにワクチンを 日本委員会(JCV)」というNPO団体が挙げられます。
JCVはユニセフと連携しており、世界の途上国にワクチンを振り当て、送るのです。
世界では一日に約4000人の子どもが命を落としています。
そのうち約3人に1人がワクチンがあれば予防できる死だと言われています。
ペットボトルキャップは約800個でワクチン一本分になります。
数だけを見ると、ワクチン一本を用意する為に相当な数のキャップが必要となり、地道な活動に思えるでしょう。
しかし、ただ捨てていたペットボトルキャップが、世界の子どもたちの命を救うことに繋がると思うと、意識も変わってくるのではないでしょうか。
その他にも、ペットボトルキャップの寄付により、障がい者や高齢者の雇用促進にもつながります。
リサイクル業者に買い取ってもらう前段階で、異物が混入していないかのチェックをしたり、ペットボトルキャップのラベルシールを剥がしたりという作業が、仕事として与えられるのです。
ペットボトルキャップの寄付は、障がい者や高齢者が、働く上で生きがいを見出せることにも役立つのです。
ペットボトルキャップの寄付&回収を受付している団体一覧
現在、ペットボトルキャップの回収はスーパーや学校など、多くの施設で行われています。
集められたペットボトルキャップは、主にリサイクル業の会社や、プラスチックの加工会社などに回収されます。
ここでは、一部ですがペットボトルキャップの回収を受付し、障がい者支援や、その収益を寄付に充てている団体をご紹介します。
NPO法人エコキャップ推進協会
NPO法人エコキャップ推進協会は、リサイクルから障がい者の雇用まで、ペットボトルキャップを通じて行える活動の草分け的存在です。
2005年に「ペットボトルのキャップを医療支援に換える運動」の活動を始めたところ反響を呼び、ペットボトルキャップで色々な支援ができることを世の中に広く知らしめました。
最初は、神奈川県が拠点だったのですが、今では日本全国に拠点があります。
ペットボトルキャップの受付は、持ち込みでも送付でも受付しています。
集められたキャップは、障がい者を雇用しているエコステーションで選別され、リサイクル業者によって製品化されています。
過去に製品化が検討されたものの中には、マクドナルドで使われるトレーなどもありました。
回収されるペットボトルキャップの数が足りないため、製品化は実現しませんでしたが、マクドナルドのような大きな企業から信頼を得ている団体と言えますね。
NPO法人 Reライフスタイル
引用元:Reライフスタイル 公式サイト
Reライフスタイルは横浜を拠点に、主に子どもの健全育成や環境の保全を目的に活動している団体です。
ペットボトルキャップの回収は、全国にいくつかある会員企業が行なっており、最寄りの会員企業に持ち込むこともできます。
直接、事務局への持ち込みや、宅配も受付けています。
集められたペットボトルキャップは、樹脂メーカーに買い取られ、その売却益を寄付しています。
寄付先である、NPO法人 「世界の子どもにワクチンを 日本委員会(JCV)」を通じて、世界中の子どもたちにワクチンが届けられます。
また、ペットボトルキャップ自体は、マテリアルリサイクルされ、住宅用建材や、プラスチック製品の再商品化などに生まれ変わっています。
キャップの貯金箱推進ネットワーク
引用元:キャップの貯金箱推進ネットワーク
キャップの貯金箱推進ネットワークは、「ペットボトルキャップのリサイクル」、「ワクチンの寄付」、「障がい者支援」の3つの柱で活動している団体です。
集めたペットボトルキャップをリサイクルメーカーに売却し、その収益を NPO法人 「世界の子どもにワクチンを 日本委員会(JCV)」に寄付しています。
また、回収したペットボトルキャップを障がい者施設に委託し、障がい者の方々に異物の除去作業などの仕事を依頼しています。
障がい者の自立にも支援できるのです。
その他、全国では多くの箇所でペットボトルキャップの回収を行なっています。
まずは、最寄りの地域での活動を調べてみてはいかがでしょうか。
イオンのペットボトルキャップ回収活動について
全国に数多く店舗展開をしているイオングループが、店舗にペットボトルキャップの回収ボックスを設置しています。
身近なイオンの店舗で、見かけたことのある方もいるのではないでしょうか。
イオンでは、2008年6月から「ペットボトルキャップで世界の子どもたちに笑顔を!!」と題したキャンペーンを行なっています。
店頭に専用ボックスを設置し、キャップを回収し、リサイクル業者に買い取ってもらっています。
その売却益を、寄付金として3つの団体に寄付をしているのです。
以下に、その寄付先の3つの団体についてご紹介します。
認定NPO法人 「世界の子どもにワクチンを日本委員会 (JCV)」
認定NPO法人 「世界の子どもにワクチンを日本委員会 (JCV)」は、ユニセフと連携し、世界の途上国の子どもたちへのワクチン支援を行なっています。
世界には、ワクチンの接種が行き届かないために、命を落とす子どもたちがたくさんいます。
ワクチンの接種により、子どもたちを救うために活動されています。
公益社団法人 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
セーブ・ザ・チルドレンは世界中の子どもたちを、教育支援や栄養、保健指導などで救う活動をしている団体です。
「すべての戦争は子どもに対する戦争です」
これは、#セーブ・ザ・チルドレン の創設者が100年前に残した言葉です
100年後の今も、世界では、多くの子どもが紛争下に暮らしています紛争下の子どもたちを守るために、あなたの手を貸してください https://t.co/iOSTkan44B#StoptheWaronChildren pic.twitter.com/vqMxLK2SFo
— セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン (@scjapan) 2019年4月26日
また、災害時の救援なども行なっています。
イオンが集めたペットボトルキャップの売却益は、ベトナムの少数民族が居住する地域で栄養給食の支給や、母親たちへの栄養食作りの指導に充てられました。
栄養不良の子どもたちに栄養価のある食べ物を提供するよう、尽力されています。
公益財団法人 プラン・インターナショナル・ジャパン
プラン・インターナショナル・ジャパンは子どもの権利を守り、女の子をはじめ、誰もが差別されない世界を実現するために活動している団体です。
ラオスで行っている学校でのジェンダー平等促進プロジェクトでは、学生寮の建設、寮の維持管理トレーニング、とくに女子生徒の生活環境を改善する活動を行いました。
レポートはこちらをご覧ください➡️https://t.co/ZTr6EVYTKs
皆さまのご寄付で実施したプロジェクトです✨#ありがとうございます pic.twitter.com/2xxoeJ7xWR— 国際NGO プラン・インターナショナル (@Plan_Intl_jp) 2019年5月13日
教育の支援や、栄養改善、助産師の育成による安全な出産の支援、女の子の早すぎる結婚や出産を防止する活動など、多岐に渡っています。
イオンで回収したペットボトルキャップの売却益は、ベトナムの子どもたちへの図書室と図書の支給に充てられました。
以上のように、イオンで集められたペットボトルキャップの売却益は、世界中の貧困に苦しむ子どもたちの支援に役立っています。
イオンでは、ホームページ上や店頭などで寄付の状況を報告しているので、ペットボトルキャップを提供する側も、安心して協力できますね。
ボトルキャップの寄付って詐欺?意味あるの?
2015年に「ペットボトルキャップの回収業者による詐欺」という話題が駆け巡ったことがありました。
【還流】エコキャップ推進協会、事業費の5割超を「身内」へhttps://t.co/AJMP8QV6A6
ペットボトルキャップのリサイクルを呼びかけるNPO法人。子会社を通じて、理事長や一部理事らの給与に充てていたことが分かった。 pic.twitter.com/TW9xB7tCEG
— ライブドアニュース (@livedoornews) 2017年1月11日
その内容は、ペットボトルキャップの回収を行なっていた「エコキャップ推進協会」が、キャップの売却の収益金を、提携していた「世界の子どもにワクチンを日本委員会(JCV)」へ寄付していなかったというものでした。
元々、回収されたペットボトルキャップは、開発途上国の子どもを救うためのワクチン代として、寄付になるということを掲げて活動していました。
しかし、子会社を通じて、理事長などを始めとした身内の給料に充てられていたようです。
実際に、その活動に賛同した多くの人が、同協会にペットボトルキャップの寄付をしていた為、裏切られたと感じた人もいたことでしょう。
さらに、寄付をしていないにも関わらず、ペットボトルキャップを送った方への領収書にはワクチンとして使われた旨が書いてあったようです。
そこで、「詐欺ではないか」と言われるようになったのです。
エコキャップ推進協会の言い分としては、ワクチン支援以外の「障がい者支援」や「スタッフの待遇改善」などへ使い、「決して私腹を肥やしたわけではない」というものでした。
確かに、他の慈善団体でも運営スタッフの給料や団体の運営費として寄付を募っているところもあります。
そのため、運営費用として寄付を募ることは、珍しいことではありません。
今回のこの件の問題点は、寄付の方向性が変わったのであれば、きちんと明示しておくべきだったことにありますね。
また、ペットボトルキャップの寄付が「意味のない行為」だという意見もあるようです。
ペットボトルキャップは、約800個で約20円となります。
ペットボトルキャップを回収業者に送る料金などを考えると、そもそもキャップではなく、現金そのものを寄付した方が良いという考えもあります。
しかし、寄付として現金を払う人がどのぐらいいるでしょうか?
元々ゴミとして捨てていたペットボトルキャップが、集めることで資源として再生され、さらにワクチン支援などで世界の人の役に立ちます。
その点を意識すると、ペットボトルキャップの寄付も意味のあるものになるのではないでしょうか。
まとめ
ペットボトルキャップの回収ボックスは、色々な場所で見かけると思います。
回収されたペットボトルキャップが、どのようにリサイクルされ、どのような寄付として人々の役に立つのかを、自らの目でしっかりと確認した上で活動に参加してみてはいかがでしょうか。